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2016年10月13日木曜日

超新星とは何か

NGC6751
NASA/The Hubble Herritage Team(STScI/AURA)

誤解されている用語

作家の星新一氏は、よく人から「星新一って逆から読むと一新星となり、いい名前ですね」と言われ、その都度、新星ってのは星が死んでいく時の最後の姿なんだけどなとボヤいている、とエッセイに書いておられました。因みに「星新一」はペンネームではなく、星氏の本名です。

最近でもよく「野球界に新星誕生」みたいな使い方をされます。そう言えば「超新星」なんていう音楽グループもいましたっけ。新星は英語で言うと Nova です(超新星は Supernova)。これもよく使われる名前です。死ぬゆく星の名前だということ認識してるのでしょうか。

新星/超新星は最も誤解されている天文用語です。


超新星爆発

新星(超新星)は星が燃料を燃やし尽くした後に起こる最後の大爆発です。超新星爆発とも呼ばれます。普段観測すらできないような遠方の星が突然夜空に光輝くため、新しい星が生まれたかの如く見えることから「新星」と呼ばれます。通常数週間から数ヶ月かけてゆっくり暗くなっていきます。

超新星爆発は宇宙の中でも最も激しい現象です。恒星が一生かけて放出するようなエネルギーを一瞬で放出してしまいます。どれだけ凄まじいかというと、例えば半径50光年くらいの距離にある星の生命は壊滅的な打撃を受けるとすら言われています。こんなのが太陽系の近くで起こったらそれこそシャレになりません。

超新星爆発は単一の星の現象でありながら、他の銀河で発生しても観測可能なものが多くあります。稀にですが肉眼で見えることすらあります。逆に銀河系の中で発生したものでも、星間物質や天体に遮られて観測できないものも多くありますが。

観測技術の向上により、ここ十年くらいは驚くべきことに毎年数千個もの超新星が発見されています。これらは全て他所の銀河で発生したものです。我々の銀河系の中でも100年に2〜3個の超新星爆発が発生していると考えられていますが、1604年にヨハネス・ケプラーが観測したものを最後に、銀河系の中の超新星は観測されていません。

有名なところで超新星1987Aというのを憶えている人がいるかもしれません。1987年に発見された最初の超新星ということで1987Aという名前が付いています。当時、カミオカンデでこの超新星爆発で発生したニュートリノを観測し、小柴先生のノーベル賞に繋がりました。これは銀河系に寄り沿うように存在する大マゼラン雲の中で発生したもので、ギリギリ銀河系の外側です。

超新星爆発が発生する原理

昔からこの超新星爆発に非常に興味を引かれてきました。そもそも燃料を燃やし尽くした星が何でこんな大爆発を起こすのかということに疑問を持っていました。いろいろな科学解説書を読んでもこの点に関して詳しく説明しているものはあまりありません。少しずつこの超新星爆発のことが分かってくると、だんだんその理由が分かってきました。星の最後は膨張や収縮を繰り返し、あまりにも複雑な現象なので簡単には説明できないのです。細かい所は端折ってごく簡単に説明すると、以下の様になります。

太陽のような恒星が一定の大きさを保っていられるのは、重力で収縮しようとする力と核融合反応で燃料が燃えることによって発生する内圧が釣り合っているからです。燃料が燃え尽きてこの内圧が無くなると、星は重力で潰れてしまいます。この収縮現象(重力崩壊)は徐々に起こるのではなく、ある一線を越えた時、瞬間的に発生します。太陽の質量を越えるような物質が一瞬にして半径10Km程度の空間に収縮してしまいます。収縮すると物質間に反発力が働き、自由落下で恐ろしいほどの運動エネルギーを得た物質は反動で外側に向かって激しく弾き飛ばされます。弾き飛ばされる物質の速度は光速の10%にも達します。

これが超新星爆発の基本的な原理です。それにしても収縮する力で爆発が発生し、更にそれが宇宙最大規模の爆発になるというのは、どうにもイメージが捉みにくいものです。

超新星爆発で星を構成していた物質の大部分は飛散してしまいますが、中心に近い部分はより強く圧縮され、中性子星やブラックホールが残ります。飛び散った物質が明るく光輝き、星雲が残ることもあります。

上で毎年数千個もの超新星が発見されていると述べましたが、死にゆく星の中で超新星爆発を起こすのはごく一部に過ぎません。更の我々に観測できるのはその中のごく一部です。それでもこれだけの数の超新星が発見されているのは、宇宙全体を考えると、超新星爆発というのはごくありふれた現象であるとも言えます。

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